1. 見積もりにおけるストーリーポイントとは?
ストーリーポイントは、アジャイル開発においてタスクやユーザーストーリーの複雑さや作業量を見積もる単位です。時間ではなく「相対的な難易度」に基づくことで、より客観的にタスクの大きさを評価でき、開発チーム全体のキャパシティも見えやすくなります。
ストーリーポイントを使用することで、各タスクの見積もりを複数人のチームメンバーで共有しやすく、タスクの進捗や達成度をチーム全体で把握することが可能です。
2. ストーリーポイントを見積もる際の要素
ストーリーポイントを見積もる際には、以下の3つの要素に基づいて評価を行います。
- 複雑さ:タスクの技術的な難易度や未知の要素がどれくらい含まれているかを考慮します。複雑なものほどストーリーポイントが高くなります。
- 作業量:実際に作業にかかる手数や、開発のために必要なステップ数を考慮します。ボリュームが多いほどポイントも大きくなります。
- リスクと不確実性:タスクに関連するリスクの大きさや、要件がどの程度明確かを考えます。特に不確実性が高いタスクは多めのポイントを割り当てることで、見積もりの誤差に備えます。
3. ストーリーポイントを見積もる手法
ストーリーポイントを見積もる際の代表的な手法をいくつか紹介します。
- プランニングポーカー
- チームメンバーが各自の見積もりをカードで提示する方法です。チーム全員が同時にストーリーポイントを示し、差があれば議論してポイントをすり合わせます。異なる観点での意見が共有され、精度の高い見積もりが得られます。
- フィボナッチ数列の使用
- 見積もりにフィボナッチ数列(1, 2, 3, 5, 8, 13, 21…)を使い、タスクの難易度やサイズに応じたポイントを割り当てます。大きな数値ほど差が広がるため、大規模なタスクの見積もり誤差が減らせる利点があります。
- Tシャツサイズ見積もり
- タスクを「S(小)」「M(中)」「L(大)」「XL(特大)」といったサイズに分ける方法です。ポイントを厳密に数値化するのではなく、タスクの大きさを相対的に評価したい場合に有効です。見積もりをざっくり把握したい段階で使うことが多いです。
4. ストーリーポイント見積もりの流れ
ストーリーポイントの見積もりを行うための基本的な流れを解説します。
- ステップ1:参照ストーリーを決める
- 見積もりの基準となる「参照ストーリー」を選びます。たとえば「2ポイント」と設定したタスクを基準に、それよりも複雑なものには高いポイントを、簡単なものには低いポイントを割り当てます。基準があることで、チーム内での評価が統一されやすくなります。
- ステップ2:各タスクを評価
- 各タスクに対し、複雑さや作業量を基にストーリーポイントを割り当てます。プランニングポーカーやフィボナッチ数列を活用しながら、チームで協力して見積もりを進めます。
- ステップ3:見積もりの合意形成
- チームメンバー全員が見積もりの結果に納得できるまで議論を重ね、合意を形成します。特に意見が分かれる場合は、リスクや作業のステップを詳細に話し合い、最も妥当なポイントに落とし込みます。
5. 見積もり精度を高めるためのポイント
ストーリーポイントの見積もり精度を高めるために、次のポイントに気をつけましょう。
- 経験と振り返りの積み重ね:ストーリーポイントの精度は、過去の見積もり結果や、実際の作業時間とのズレを振り返ることで改善されます。定期的な振り返りを行い、見積もり精度を高めましょう。
- チームのスピードを考慮する:ストーリーポイントは各チームのスピード(ベロシティ)に基づくため、他のチームと共有することを避け、自分たちの実績に基づいたポイント設定を維持します。
- 過度な細分化を避ける:ストーリーポイントはあくまで大まかな見積もりであるため、詳細に数値化しすぎないようにします。ストーリーポイントの目的は相対的な比較なので、シンプルな評価で良い結果を得やすくなります。
6. まとめ:ストーリーポイントでタスクを管理するメリット
ストーリーポイントを用いた見積もりは、チームの合意を得ながらタスクの複雑さを相対的に把握できるため、スプリント計画が効率的に行えます。プランニングポーカーやフィボナッチ数列を活用し、チームのスピードに合ったストーリーポイントを設定して、プロジェクトの見通しを改善していきましょう。
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